黒鍵ペンタトニック「イエローマジックカーニバル」(作曲:細野晴臣)
「イエロー・マジック・カーニバル」(ティン・パン・アレー 作曲:細野晴臣)
1978年に、Y.M.O.(イエロー・マジック・オーケストラ)を結成するまでの期間で、細野晴臣の作品で触れておきたいのが、『トロピカル三部作』(「トロピカルダンディー」「泰安洋行」「はらいそ」)です。特に3枚目の「はらいそ」は「ハリー細野とイエロー・マジック・バンド」名義で、直後のY.M.O.の萌芽ともいえる作品でした(この作品にはY.M.O.のメンバーとなる坂本龍一、高橋幸宏の両名も参加)。一連の3作品は非西洋的でエキゾチック(異国情緒的)、どこか「民謡」的な要素も含んでいたように思います。
さて上記の曲は細野から「イエロー・マジック」なるアイディアが飛び出した最初の曲です。トロピカル三部作と同時期の1975年「ティン・パン・アレー」名義で発売されたアルバム「キャラメル・ママ」に収録されました。細野は魔術を引き合いに『“黒と白”という西洋の分け方に日本人は入れない、と思ったわけ。特に音楽やってるぼくの場合、西でも東でもない状態に片足突っ込んでいる真っ只中なんで。じゃあ、自分はどこなのか、と悩んだな』と述懐。そして子供の頃に読んだ西遊記を思い出し『西遊記には黄魔大王というのも出てきたなあ、なんてことを思い返して、黄色いイメージが浮かんだ。黄魔術。』(CD「HOSONO BOX」ライナーノーツP.25)かくのごとくイエロー・マジックが誕生するのです。
なお上記の曲、最初のAメロディは5音階(ペンタトニック)で作られています。5音階と黄魔術、その関係は浅からずといえそうです。