黒鍵ペンタトニック「ジャングル・ブギ―」(笠置シヅ子/服部良一)
「ジャングル・ブギ―」(笠置シヅ子:唄 服部良一:作曲)

1920年代後半にアメリカで流行したピアノによるブルース音楽、ブギウギは1940年代になると、ビックバンド等様々な形態で演奏されるようになり更なる人気となりました。アメリカのその動向を目ざとく、服部はいち早くブギウギを曲作りに取り入れ、1947年「東京ブギウギ」(笠置シヅ子)で爆発的なヒットを放ちます。以降、服部・笠置コンビのブギウギ路線が国内で大流行するのです。
この「ブギウギ」について服部は以下のように回顧しています。
『私の作ったブギでは、最初に書いた「東京ブギ」が一番ブギらしい要素を持っているが、「ヘイヘイブギ」「ジャングルブギ」と段段とその後に続いて書いたブギは、むしろ、ブギ小唄と申したい様な形態を持つたものである。』『笠置君にプレゼントしたブギは、飽くまで旋律的にもリズム的にも解りやすく、多分にブギ的なアクセントを盛り込んで、いわゆるアイノコ丼、ゴモクめし、カツ丼の様に好ましく作られたものである。』<「上海ブギウギ1945 服部良一の冒険」(P.183~184)>
上記譜例の「ジャングル・ブギ―」や「ホームランブギ」、ブギ小唄の真骨頂である「三味線ブギ」(笠置の歌唱ではないが…)等のブギウギ路線では、服部にしては珍しく5音階(ペンタトニック)で旋律を作っています。洋楽派の服部とて、笠置が放つ強烈なドメスティックなパワーには抗うことが出来なかったのかもしれません。
なおこの「ジャングル・ブギ―」の作詞は映画監督の黒澤明。1948年の映画「酔いどれ天使」の劇中歌で、この曲を歌い踊る笠置の姿も作品中で映ります。
