黒鍵ペンタトニック「打上花火」(DAOKO&米津玄師)
「打上花火」(DAOKO&米津玄師)
前回のエントリーで取り上げたY.M.O.が画期的だったのは、コンピューター制御のシンセサイザーやリズムマシンをバンド演奏の中心に据えたことでした。こうした音楽を「テクノポップ」と呼称するようになり、1970年代末にブームとなり、Y.M.O.と同世代(やや下)のテクノ御三家(P-MODEL、ヒカシュー、プラスチックス)なども一躍人気となります。1980年代になると、歌謡曲の中にもテクノポップの影響は深く浸透していきます。小室哲哉率いるTM NETWORKが人気を博すなど、シンセサイザーの人気は市民権を得ることになります。1990年代になると電気グルーヴ、ケン・イシイ、テイ・トウワ等も登場し、音響機器を操作して演奏に参加する「DJ」の存在も当たり前のものとなります。
2000年代には、人工音声合成技術「ボーカロイド」が発表され、歌唱そのもののコンピューター制御が可能になりました。インターネット上の動画投稿サイトではボーカロイド作品が数多く投稿されるようになり、その投稿主を「ボカロP」と呼称するようになります。そのなかでもとりわけ人気だったのが、ボカロP「ハチ」こと米津玄師です。2015年にメジャー・デビューし、シンガーソングライターとして台頭します。
上記「打上花火」は2017年に発表、DAOKOとの共同名義のシングル曲になります。大サビの二人の掛け合いと続く間奏がほぼペンタトニック(5音階)で出来ています。前回取り上げた「ファイアークラッカー」も訳せば「花火」、どこかこの現象と5音階とは相性が良いのでしょうか?
なお米津氏は自身の音楽に影響を与えた人物として前記したP-MODELの平沢進の名を挙げています。どうやらテクノポップの系譜は連綿と受け継がれ、現在に至っているようです。