小さな進歩が、大きな創造力につながる
日常の移動を出来るだけ徒歩にするようになって私のスピード感に大きな変化がありました。自転車をペダルでこぎ進むスピードすら今では速すぎて、少し怖さすら覚えます。車の運転など無理、もはや完全なペーパードライバーです。
確かに徒歩だと時間がかかるというデメリットはありますが、速いスピードでは気づかなかった小さな街の変化にも敏感になり面白くなってきました。どうやら私にとって慌てて先を急ぐより、ゆっくりじっくりと歩を進める方が、どうやら性に合うようなのです。
それはピアノの練習でも同様のようです。楽譜を初見でさっと鮮やかに弾きこなし、次々と新しい曲に挑戦し続けるのは、あまり自分には向いていないようです。それより同じ曲でも、角度を変えて色々なアプローチで何度も反復していくことで、つぶさに曲の魅力を味わえるように感じられ、じっくり進めた方が面白いのです。
それでは大して進歩しないじゃないか?そう思われるかもしれません。18世紀の大哲学者カントは、毎日・同じ時間・同じ経路での散歩が日課だったそう。一見同じことの繰り返しでも、どこかに小さな変化があり、それが大きな創造力となり、カントの哲学的大発見に繋がったと考えます。
日々のレッスンでちっとも進歩していないと嘆かれる方、どうぞご心配なく。レッスンを継続している限りはどんなに小さな歩幅でも進んでいきます。私はその小さな変化を見つけ出すのが好きなのです。ですから共に小さな進歩を見つけ出しながら、大きな創造力に繋げていきましょう。