間違えても機転を利かせてのりこえたい
楽譜はとても優れた記憶メディアで、私たちが現在、300年近く前の音楽を演奏できるのも作曲家が楽譜に書き残してくれたおかげといえます。
ただあまりに楽譜が優れているので、その通りの音の高さ・長さで演奏さえすれば、それらしくなります。ですから私たちはつい楽譜通り間違えずに演奏することを重要視してしまいます。
ですが「人生が筋書きのないドラマ」である様に、演奏でも楽譜通りにいかない場面に出くわすことはままあります。どんなことがあっても間違えないで演奏するよう備えることは、もちろんある程度は可能です。時間をかけ、何度も反復練習を重ね、徹底的に体に叩き込んで覚える方法です。でもこうした競技的なスリルある方法は、練習に専念できる環境が整っていて、時間も体力にも余裕のある人に限られます。日常生活を営みつつ趣味としてピアノを楽しむ方法としてはあまりお勧めできません。
となれば、やはり演奏中に、ある程度間違えてしまうのは致し方のないことだと私は考えます。「間違えないよう」と注意深く演奏する以上に大切なのが、「間違えたらどうするか?」です。つまりその場で「機転」を利かせてその間違えを何とかのりこえてしまうことだと私は考えます。
音楽での「機転」とは「即興(アドリブ)」です。これはクラシックピアノのメソードには、あまりなく私自身も試行錯誤の真っ最中です。ですが「黒鍵ペンタトニック」でその糸口をつかんでみたいと思います。コロナも5類に移行した今、始動したいと思います。
五線譜の前身、グレゴリオ聖歌の譜線ネウマ(14~5世紀)