黒鍵ペンタトニック 「リンゴ追分」(美空ひばり)
「リンゴ追分」(美空ひばり/米山正夫 作曲)
戦後の歌謡曲といえば、この人を取り上げないわけにはいきません。美空ひばりです。
そのレパートリーは幅広く、いわゆる古賀メロディのような演歌調はもちろん、ブギ、マンボ、ロカビリー、ツイスト等の「リズム歌謡」もお手の物。時々で流行するものなら何でも取り入れる貪欲さで、あげくジャズナンバー等の洋楽曲のカバーまで歌いこなします。ひばりが辿ったキャリアそのものが、「戦後歌謡史」といっても過言ではありません。
上記の「リンゴ追分」は、ひばりが15歳の1952年に発売されました。作曲は米山正夫(1912~1985)。米山はキャリア初期のひばりには欠かせない作曲家で、「ロカビリー剣法」「ひばりのドドンパ」等々手がけます。これおらのタイトルからも分かるように米山は外来のリズムと日本の民謡を和洋折衷して歌謡曲に仕立て上げる名人で、ペンタトニック(5音階)はその媒介にもなりました。「リンゴ追分」も一部を除き、「二六抜き短音階」で作られています。
なおこの曲に憧れた野口五郎が、米山の門下生になりたくて、関連のオーディションを受け続け、結果、演歌歌手としてデビューします。ですがヒットせず、ポップス歌手に転向して西城秀樹、郷ひろみらと「新御三家」として活躍、成功をおさめます。
1952年ひばり主演の映画「リンゴ園の少女」