- 春日部で40年。あなたの街の音楽教室。ミュージックファームぷりま

ピアノ・声楽・ギター・バイオリン・フルート・クラリネット

黒鍵ペンタトニック「チョコレイト・ディスコ」(Perfume)

ディスコ音楽は多人種ひしめくアメリカで。1960年代にマイノリティのアフリカ系、ヒスパニック系のゲイ・カルチャーから発展したといわれます。1970年に入ると全米でディスコ・ブームとなり、TV番組「ソウル・トレイン」(1971年~)、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年)の人気の影響もあり、そのブームは世界的にも広がります。

さてY.M.O.は1980年6月に3枚目のアルバム「増殖」を発表し、その直後から2度目のワールドツアーに出ます。その中途の11月には先述のTV番組「ソウル・トレイン」に日本人として初めて出演、細野考案の「エレクトトリック・チャンキー・ディスコ」が全米のお茶の間に届けられたのです。

こうしたエレクトリック・ディスコの系譜は案外、息が長く21世紀になった今も途切れません。その代表曲が下記の2006年発表のテクノ・ポップ・アイドル「Perfume」の「チョコレイト・ディスコ」です。曲を手掛けたのは2010年代には「きゃりーぱみゅぱみゅ」でもヒットを連発させた中田ヤスタカ氏。中田氏は通常の7音階から4番目または7番目の音を除きメロディを作るのを得意とします。この「チョコレイト・ディスコ」ではそのどちらも除かれた四七抜き音階でサビが作られていますので、その部分をピックアップしました。

チョコレイト・ディスコ<サビ>

このように7音階から4番目または7番目の音を除きメロディを作る特徴はディスコ音楽全般に見られます。例えば1977年にグラミー賞を獲得した普及のディスコ・チューン、「ハッスル」(Van McCoy and the Soul City Symphony)でのピッコロの旋律も四抜き長音階だったりします。

 

ハッスルのピッコロの旋律→変ト長調の4番目「ド♭」は出てこない

 

 

 

 

黒鍵ペンタトニック「ライディーン」(Y.M.O.)

「ライディーン」(Y.M.O./高橋幸宏作曲)

再びY.M.O.に話題を戻します。1979年8月のロサンゼルス公演の成功で逆輸入的に国内でも人気が出た直後の9月、2枚目のアルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァ―」を発売。国内累計102万枚のメガヒットとなり、その人気は確固たるものになります。

ヒットの要因として、この作品が昭和初期の人気作曲家・中山晋平作品に見られる「流行歌」「民謡」「童謡」の三要素を備えていたことを挙げたいと思います。特に冒頭の三曲にそれが顕著だと思います。

1曲目「テクノポリス」は「流行歌」。作曲した坂本龍一は、ピンクレディーや筒美京平の曲等、当時流行していた人気歌謡曲を分析・研究したうえで、再構築したのがこの曲です。

2曲目「アブソリュート・エゴ・ダンス」は「民謡」。作曲した細野晴臣が得意とするエキゾチックうサウンドで、沖縄民謡をモチーフにしたのがこの曲です。

そして3曲目「ライディーン」は「童謡」。この曲は当時の小学生を中心とした子供に異様なほどに刺さるのです。例えば、1982年放送のドラマ「北の国から」の第13話。北海道・富良野での田舎生活に嫌気が刺した都会育ちの主人公、小学生の純(吉岡秀隆)。久しぶりの東京で旧友の家にてヘッドホンで聴くのがこの曲なのです。当時の流行のほどがうかがえます。

なおこの曲のBメロディは、童謡でおなじみのペンタトニック(二六抜き短音階)になります。

作曲したのはドラムの高橋幸宏。細野の影響下でシンガーソングライターとしての才能を開花させます。そのせいかペンタトニックを用いたメロディ作りを得意とします。

黒鍵ペンタトニック「ファイアークラッカー」(Y.M.O.)

「ファイアークラッカー」(Y.M.O.)

さて今回からいよいよY.M.O.(イエロー・マジック・オーケストラ)を取り上げたいと思います。次世代に与えた影響もあわせてみていきたいと思います。

1978年2月、細野晴臣は自身のソロアルバムの録音作業を終えると、そこに参加していたミュージシャン、坂本龍一と高橋幸宏を自宅に招きます。そこで新バンドY.M.O.の構想についてメモ書きを見せ両名に参加を要請します。そこには『マアティン・デニーのオリジナル作品を、シンセサイザーを使用したエレクトトリック・チャンキー・ディスコとしてアレンジした”ファイア・クラッカー”に決定!~略~本邦から初の世界的大ヒットを自信をもってネラッちゃうのであります。目標、400万枚』と記されていました。

なおマーティン・デニーとは1950年代に流行したエキゾチカの代表的なアメリカの作曲家です。非西洋圏に対する欧米人の妄想的な異国情緒を表した音楽がエキゾチカともいえ、Y.M.O.以前の細野のソロ作品「トロピカル三部作」にも多大な影響を与えていました。上記の「ファイアークラッカー」も主要部もペンタトニック(5音階)でその異国情緒間に一役買っています。

この曲のカバーをを含むアルバム「イエロー・マジック・オーケストラ」で1978年11月に国内デビューを果たしますがそこでは余り話題にならず。翌年5月にアメリカ盤が発売され、8月のロサンゼルスでの初の海外公演で成功をおさめると、国内でも大きく報道されるようになりその人気に火が付きます。逆輸入的な人気を背景に、Y.M.O.はテクノポップというポップミュージックの新機軸を打ち立てることになります。

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