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グレン・グールドのメディア論が私に与えた影響

の音楽観に強い影響を与えたのが、ピアニストのグレン・グールドです。ただしそれは、彼の誰も真似ようのないピアノ奏法ではなく、録音についてを中心にした彼のメディア論です。

グールドは1955年にプロデビューするも1964年にはコンサート活動から引退します。亡くなる1982年までその演奏活動はラジオ・テレビ・レコードといったメディアを介してのみとなります。コンサート引退後に彼が記したメディア論「レコーディングの将来(1966年)」<『グレン・グールド著作集2』(みすず書房)に所収>が秀逸で私のグールドへの関心の原点となります。ここでグールドはメディアの発達に伴い、音楽において作曲家・演奏家・聴衆といった従来のはっきりとした役割分担の境界がなくなると予測します。確かに現在はインターネット上の動画サイト等で誰もが気軽に自身の演奏を公開できるようになりました。今やAIの手助けさえあれば、素人でも作曲ですら楽々できてしまう時代です。かつての聴衆も容易に表現者になれるのです。

以下「レコーディングの将来(1966年)」からの引用です。

「私の見解では、電子時代がくれば、音楽芸術は今よりはるかに想像力に訴えながらわれわれの生活の一部となり、生活の飾りとしての役割ははるかに少なくなって、ついにはわれわれの生活をもっと深いところから変えるであろう。」(前掲書p.170)

つまり音楽は特別な非日常的な存在ではなく、ごくごく身の回りにある日常的な存在になるとグールドは述べるのです。私もこの点について共感します。音楽が身近だからこそ、その影響力の深度は高まるのです。最後もグールドの言葉を引用して締めくくりたいと思います。

「聴衆が芸術家であり、その生活自体が芸術となるだろう。」(前掲書p.171)

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