「私のお気に入り」を探すのを大切にしましょう
前回のエントリーの続きです。音楽を聴くことが「個人的」な経験になったと記しました。このことは演奏することにも当てはまるのかもしれません。合奏せずとも自己完結できるピアノのような楽器の場合は特にそうかもしれません。
そうなると他者と演奏技術の優劣を比較することにはあまり意味がないように思えてしまいます。それより「私のお気に入り」のメロディ・響き・リズム等を探していく、そして自分自身が心地よく感じる演奏を目指すことが大切なのではないかと思うようになりました。
自分自身を知るためにも他社との比較や評価があった方が自分の立ち位置を相対化できるという筋の通った意見もあると思います。ですが私はそれには反対です。というのも「私のお気に入り」とは必ずしも筋の通った理知的なものではないと思うからです。「私のお気に入り」どちらかといえば、理屈では表せない感性に下支えされていると思うからです。
理屈抜きの「私のお気に入り」を他者から理知的に点数化されたりするのは、どんなに頭で理解が出来たとしても、心底、体で納得できるものではないでしょう。その上、順位付けなどされてしまえば、面白いのはせいぜい上位の数名で、選外のその他多くは、行き場のない気持ちを背負ってしまうと思います。そこで背負いこんだトラウマは案外ダメージが深く、その回復はそう容易ではないように思います。
やはり「私のお気に入り」を探すのが大切です。そしてそれを応援すのがこの教室の仕事だと思っています。
映画「The Sound of Music」から「My Favorite Things」