黒鍵ペンタトニック「さとうきび畑」(寺島尚彦)
「さとうきび畑」(寺島尚彦)

さて今回からしばらく日本のフォークソングに焦点をあてていきたいと思います。
その初回は「さとうきび畑」です。詞曲とも手がけたのは作曲家、寺島尚彦氏。当時、寺島はシャンソン歌手、石井良子の伴奏者を務めていました。なので、この曲を厳密な意味でフォークソングと呼びにくい面もあります。ただ、この曲の初めての録音が「森山良子カレッジ・フォーク・アルバムNO.2」(1969年)であること、続いて1971年に上條恒彦が2枚目のシングルのB面にこの曲を録音した等、60年代末から70年代初頭のフォークブームで広まった「反戦」と「沖縄復帰」を願う強いメッセージソングといえました。
寺島は石井好子の公演のため日本復帰前の沖縄に訪れます。沖縄戦跡地の摩文仁の丘を目指しサトウキビ畑に埋もれ移動する中、戦没者たちの怒号と鳴咽を感じた寺島は曲作りを決意します。そして11番まで詩がある10分以上の長い曲が出来上がったのです。
『ある時ふと「ざわわ」が思い浮かんだ。これかもしれない、これだ、と思ったのだが、それでもまだ軽々しい響きに聴こえはしないか。でもこれ以上烈しい言葉ではシュプレヒコールになって音楽を壊してしまう。それならば繰り返すことによって広い空間を想起してもらおう。こうして納得する形が出来あがったとき、「ざわわ」は66回も繰り返されることになってしまった。』(「さとうきび畑 ざわわ、通り抜ける風」P.42~43)
なお「ざわわ」の詞の部分は四七抜き長音階で出来ています。
