人前の演奏での緊張 口呼吸から鼻呼吸へ(続き)
先月の続きです。
さて人前でピアノを弾く時に多くの人にとって避けられないのが「緊張」です。これはプロのピアニストも同様で、極端な例では、名ピアニスト、グレン・グールドが1964年、人前に晒されるのを嫌い、コンサート活動を引退。没する1982年まで、その活動は何度も演奏のやり直しができるレコーディングに限られます。
(1960年NBC=CBSネットでのテレビ出演。バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルと共演でバッハのチェンバロ協奏曲第1番第1楽章を演奏。)
かの名ピアニストもこの有様。凡人である私が緊張で悩むのもごく当たり前といえます。ただ極度に緊張して、演奏の途中で何をやっているのか分からなくなってしまうホワイトアウトだけは何とか避けたいもの。制御不能になっても完全に体に覚えこませておけば何とか凌げますが、そのためには徹底的に緻密な練習が必要となります。それを思うだけで人前で弾くのは億劫で気の重いものでした。
演奏中のホワイトアウトするのは、夏場にパソコンなどが熱暴走してフリーズするのと同様、緊張のあまり頭に血が上り脳が過度に熱くなるせいか?と考えてみました。脳の熱暴走をくい止め、平熱を保てればきっといいのだろう。そこで前回の「鼻呼吸」です。鼻の穴の奥は脳を包む頭蓋の底部につながっているそうです。鼻から外気を吸い脳を冷やし、籠った熱を鼻から吐き出せば、きっと熱暴走を防ぎ、ホワイトアウトせず冷静にいられるはずです。実際に試したところ、想像以上にうまくいきました。いつもなら演奏後は、耳たぶが極度に熱くなっているところ、適温に保てました。あまりカーっと熱くならず落ち着いて演奏できたように思います。
ただしこれは私の単なる個人的な体験談に過ぎません。ですが、「三人寄れば文珠の知恵」、ぜひ皆さんの体験談も積極的にお寄せください。そしてともに人前で楽しく弾けるための知恵を蓄えていきましょう。