- 春日部で約半世紀。あなたの街の音楽教室。ミュージックファームぷりま

ピアノ・声楽・ギター・バイオリン・フルート・クラリネット

黒鍵ペンタトニック 「春よ、来い」(松任谷由実)

「春よ、来い」(松任谷由実)

さて「春よ来い」がタイトルになる曲を紹介するのはこれで3回目(正確には今回の曲名には句点が入ります。)。やはり春を待ち乞う気持ちはつい5音のペンタトニックで表したくなってしまうのでしょう。

さてこの曲の作者は「ユーミン」こと松任谷由実です。ユーミンと前回触れた「はっぴいえんど」とは縁が深く、荒井由実としてデビューしてからしばらくバックバンドを務めたのが、解散した「はっぴいえんど」の細野晴臣・鈴木茂が新たに立ち上げた音楽ユニットであるキャラメル・ママ(ティン・パン・アレー)。ちなみにドラムに林立夫、キーボードに松任谷正隆が参加します。ジブリ映画でもおなじみの「ひこうき雲」「やさしさに包まれたなら」の演奏はこのメンバーの手によります。さらに「はっぴいえんど」の元ドラマーで、作詞家に転身した松本隆が実質的にプロデュースした松田聖子プロジェクトにもユーミンは、呉田軽穂のペンネームで作曲陣に加わり、「赤いスイートピー」等のヒット曲を連発。

さてこの曲は1994年に発表された松任谷由実名義のシングル曲です。曲全体は自然短音階(ラシドレミファソラ)で出来ています。自然短音階の名曲は多く、藤山一郎「青い山脈」、ジュディ・オング「魅せられて」等、枚挙にいとまがありません。そしてこの曲はサビで二六抜き短音階となり、上記の譜面は黒鍵だけで弾けるのです。

黒鍵ペンタトニック 「春よ来い」(はっぴいえんど 作曲:大滝詠一)

「春よ来い」(はっぴいえんど

前回に引き続き大滝詠一です。大滝詠一は伝説の「日本語ロック」バンド、「はっぴいえんど」のボーカルでデビューします。他のメンバーはベース、後にY.M.O.でも名を馳せる細野晴臣、ドラム、後に人気作詞家となる松本隆、ギターは編曲家・スタジオミュージシャンとして活躍する鈴木茂の4名です。

松本が作る日本語詞に、残りのメンバーで作曲し各々が歌うのが、このバンドの基本形態でした。そして1970年のデビュー当時、バンドの方向性を決定づけたのが、大滝の作曲術だと考えます。従来の歌謡曲にない和音進行や転調と難しい技術を駆使しますが、かといって聞き馴染みしやすいメロディを紡ぎ、まるで魔法のような作曲術といえます。そこで肝になるのが曲中で使用される音階です。特に初期の大滝作「12月の雨の日」「春よ来い」「かくれんぼ」のメロディには一般的な長調や短調ではなく、「レ」から始まる「ドリア旋法」(レ ミ ファ ソ ラ シ ド レ)が使用されています。なおこのドリア旋法はイギリス民謡の「グリーンスリーブス」や日本の「君が代」でも用いられています。

さらに「春よ来い」「かくれんぼ」は「二六抜きのドリア旋法」(レ ファ ソ ラ ド)で二六抜き短音階と同じ音程構造になります。ですから上記、黒鍵だけでメロディが弾けるのです。

半音程がない5音階での曲では、ロマンティックな声質も持ち合わせる大滝詠一のシンガーとしての魅力が最大限引き出せず、少し勿体ないようにも個人的には思います。

黒鍵ペンタトニック 「春よ来い」

春よ来い(弘田龍太郎 作曲)

今回は前回紹介した本居長世の教え子の一人である弘田龍太郎(1982~1953)を紹介します。弘田はこれまで紹介した本居や、山田耕筰中山晋平ら1880年代生まれの一世代下の作曲家です。この世代以降は、東京音楽学校に作曲学科も設立され、専門的な作曲教育が施されます。(ちなみに山田は声楽科卒業、本居、中山はピアノ科を卒業。)

弘田は1914年にまず東京音楽学校のピアノ科を卒業します。その後、学校に残り助手を務めます。そして1917年に作曲部が新設されるやいなや再入学を果たします。卒業後、1928年には文部省在外研究生としてドイツに留学、ベルリン大学で作曲とピアノを学びます。そして帰国後、満を持して母校・東京音楽学校で教授に就任しますが、なんと在職わずか2か月で退職してしまいます。(何があったか気になるところです。)以降、アカデミズムとは距離をとり在野での作曲活動に専念します。

弘田は特に童謡の作曲で特に名が知られています。1918年に児童雑誌「赤い鳥」が刊行され、童話・童謡運動が活発になると弘田も参加し、多くの作品を残します。1923年児童雑誌「金の鳥」で発表された上記の「春よ来い」は弘田の代表曲の一つと言えるでしょう。弘田の童謡はペンタトニックで作られることが多く、この曲も5音階ならではの素朴さがとても印象に残ります。

 

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