黒鍵ペンタトニック 「かなりや」
「かなりや」(成田為三作曲)
このコーナーで5回連続で「童謡」を特集していきましたが、今回で一息つきたいと思います。
大正から昭和にかけて興った「童謡」のムーブメント、それを牽引したのが、小説家・鈴木三重吉が創刊した児童雑誌「赤い鳥」でした。1918年に創刊、鈴木がなくなる1936年まで、計196冊が刊行されました。
上記の「かなりや」は同誌の1919年5月号で、初の曲つきの童謡として楽譜が掲載された記念すべき作品です。翌1920年にはレコードも発売され、録音された童謡としても最初期の作品となりました。
さてこの曲は基本的には5音でメロディが作られています。上記の1,2番は二六抜き短音階で憂いのあるメロディなのですが、3番で転調。四七抜き長音階で明るくなり、曲のクライマックスでは第7音も使い締めくくられます。
さて作曲した成田為三ですが、1893年秋田で生まれます。東京音楽学校の甲種師範科へ進み、前回紹介した草川信と同級生となります。在学中の1916年にはかの「浜辺の歌」を作曲します(残念ながらこちらは黒鍵だけでは弾けません)。卒業後、1922年にドイツ留学するまで「赤い鳥」の専属作曲家として活躍。数多くの童謡を残します。
1929~31年頃に大阪府・豊中市のコッカレコードで発売されたSP盤