黒鍵ペンタトニック「巡恋歌」(長渕剛)

1970年代後半になるとフォークブームは陰りを見せます。例えばピンク・レディー、デビュー前のオーディション番組「スター誕生」ではフォークデュオとして合格しました。ですが、1976年のデビュー時には大きく路線を変更、歌って踊れるアイドルとして飛躍します。
そんなフォーク人気が下降線をたどる中、登場したのが長渕剛です。1977年「雨の嵐山」でデビューするも話題にならず、翌1978年「巡恋歌」で再デビューします(オリコン最高位173位)。もちろん作詞・作曲は長渕氏本人です。編曲は元「はっぴいえんど」の鈴木茂が担当します。ペダルスティールギターの響きが印象的でさわやかなカントリー調のアレンジとなっています。ボーカルの線も細く、どこか甘酸っぱさすら感じられます。
ただしキャリアを重ねるにつれ、長渕氏のスタイルは変化していきます。「フォークは軟弱」とみなす世の風潮に抗っていくのです。「とんぼ」(1988)、「しゃぼん玉」(1991)とミリオンセラーを連発する頃には、そのサウンドも太く筋肉質になっていったのです。そんな人気絶頂の1992年、再デビュー曲を「巡恋歌‘92」として再録し、シングルとして発売、オリコン1位を記録するのです。編曲は長渕氏本人と瀬尾一三の共同で行い、太いエレクトリックギターが印象的なロック調のアレンジとなり、ボーカルもハスキーさが増しました。
ほぼ二六抜き短音階のメロディはどんな曲調にも臨機応変に対応でき、現在もコンサートでの定番曲として人気を誇ります。
