ぷりま音楽歳時記 5. ホ長調
<ホ長調>
ホ長調の調号は#が4つ。明るい調ですが、昼間の明るさではなく朝夕の陽ざしを感じさせるように思います。
<ホ長調の曲>
別れの曲 op.10-3/ショパン
この曲の原題は「練習曲 作品10 第3番」とシンプルなものなのですが、この曲を使用したドイツ映画の邦題「別れの曲」(1934年)がそのままこの曲の愛称に。今回はこの映画で演奏を担当したエミール・フォン・ザウアー(なんとかのリストの直弟子)の録音を紹介します。
ぷりま音楽歳時記 4. イ長調
<イ長調>
イ長調の調号は#が3つ。全ての調の中で最も明るい色彩を感じます。弦楽器、A管クラリネットが演奏を得意とする調でもあります。
<イ長調の曲>
ピアノ協奏曲第23番 K.488/モーツァルト
この曲の第1&3楽章がイ長調です。今回紹介するのは、ピアノがルドルフ・ゼルキン、指揮がクラウディオ・アバドによるロンドン交響楽団による演奏。ちなみにゼルキン氏は私の師匠の師匠の師匠にあたります。とてつもなく遠縁ですが、そのピアノの音色に不思議と親しみを感じてしまいます。ロンドン交響楽団の華やかで軽やかな響きが大変心地よいです。
ぷりま音楽歳時記 3. ニ長調
<ニ長調>
ニ長調は、#が2つ。とても明るい調になります。明るさの中に、祝典的な厳かな雰囲気もあるように思います。
<ニ長調の曲>
皆さんご存じのこの曲はピアノ用にもよくアレンジされます。この曲の原題は「三声のカノンとジグ」といい、ヴァイオリン3挺と通奏低音(チェンバロやヴィオラ・ダ・ガンバなどの低音楽器)のために作曲されました。今回紹介する演奏は、パイヤール室内管弦楽団による演奏です。ゆったりとリラックスして聴くのにちょうどいいテンポのように思います。
ぷりま音楽歳時記 2. ト長調
<ト長調>
ト長調は、#が1つ。明るいトーンで健康的な印象があります。弦楽器が鳴らしやすいのも特徴です。
<ト長調の曲>
ゴールドベルク変奏曲/J.S.バッハ
バッハの弟子、鍵盤楽器奏者のゴールドベルクが不眠症で悩む貴族のために演奏したという逸話から、この曲の愛称に。
紹介するのは、この曲を一躍人気曲にした立役者グレン・グールドの演奏。グールドはこの曲をデビュー時にモノラルで、晩年近くにステレオで、二度、スタジオ録音をしています。今回は2度目の録音時に平行して記録された映像を紹介します。(6:20位から演奏が始まります。)
ぷりま音楽歳時記 1. ハ長調
<ハ長調>
ハ長調は、#や♭の黒鍵もなく、すべて白鍵だけで構成されています。純白、純真無垢で、とてもピュアな響きになると思います。(あくまで私の主観ですが…)
<ハ長調の曲>
ビル・エヴァンス/ピース・ピース
ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスのドキュメンタリー映画を観た時に印象に残ったのが、このピアノソロ曲。左手はシンプルな和音伴奏のループで、右手はドビュッシーなどの印象派の作曲家に通じる美しい響きで大変心地のよい曲です。
ぷりま音楽歳時記 はじめに
「ぷりま音楽歳時記」は毎月発行するおたよりの1コーナーです。
普段私たちが接する音楽で主に用いられる音階は、12の長調と短調です。この「12」は日時を表す単位でもあります。
そこでこのコーナーでは12の長調と短調を「季語」になぞらえ、毎月一つの調を取り上げ、その調を用いた音楽を紹介していきます。