- 春日部で40年。あなたの街の音楽教室。ミュージックファームぷりま

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黒鍵ペンタトニック 「男はつらいよ<映画主題歌>」(渥美清)

男はつらいよ<映画主題歌>」渥美清山本直純作曲)

昭和のノベルティソングを特集してきましたが、今回で一段落です。特集のトリを飾るのに相応しいのが映画「男はつらいよ」の主題歌を除いて他はありません。

「男はつらいよ」は1969年に制作がスタート。1995年までに48作、主演の渥美清がなくなって以降さらに3作も制作された、他に例を見ない多作の映画シリーズです。お盆と年末年始、年2回公開されることが多く、まさに昭和の日本の風物詩ともいえる映画でした。

この主題歌、実は映画シリーズに先立って制作されたテレビドラマ(1968年)から使用されています。作詞は演歌界の大御所、星野哲郎氏です。星野氏は「急いで書いてくれ、といわれドラマの粗筋を基に、4,5日で書いた。当時はファックスもないから速達で送った。」と練る間もない仕事だったと振りかえっています。作曲した山本直純氏について、星野氏は「やさしいメロディーで、クラシックの人がうまく演歌を書いたって思いました。」と称賛しています。

まさにこの曲はソフトな演歌。四七抜き音階のペンタトニック(5音階)に「ピョンコ節」の付点のリズムは、明治・大正の唱歌・童謡にも相通じるように思います。

黒鍵ペンタトニック 「初めての街で<菊正宗CM>」

「初めての街で<菊正宗CM>」(中村八大 作曲 西田佐知子 歌)

日曜日の夕方のテレビといえば、5時半から日本テレビで「笑点」、間をおいて6時半からフジテレビで「サザエさん」と続くのが昭和末の定番。(平成以降は、その間の6時から「ちびまる子ちゃん」が加わり、現在の令和に至ります。)

昭和末に子ども時代を過ごした私の記憶が確かなら、「笑点」と「サザエさん」の間に印象的なCMがありました。それが日本酒「菊正宗」のCMです。「笑点」「菊正宗」「サザエさん」と連なると、楽しかった休日が終わってしまう悲しみがドっと押し寄せたものでした。

さてこの「菊正宗」のCM曲は「初めての街で」というタイトルです。1975年からCMで使われ、1979年にはレコードも発売。歌うのは「アカシアの雨が止むとき」でおなじみの西田佐知子。作詞は永六輔、作曲は前回に続き中村八大、「六八コンビ」による曲なのです。ちなみにこの曲も全編、5音階(四七抜き長音階)によるメロディです。

「サザエさん」の主題歌を作曲したのは、この「黒鍵ペンタトニック」の常連の筒美京平(「サザエさん」のメロディは残念ながら5音階ではありませんが…)。「笑点」「菊正宗」は共に中村八大が作曲。日曜日の夕方のテレビは昭和のヒットメーカーの曲で彩られているといえるでしょう。

CMバージョン(宣伝用非売品レコード!)

懐かしのCMです

黒鍵ペンタトニック 「笑点のテーマ」(中村八大)

笑点のテーマ」中村八大

日本を代表するバラエティ番組といえば「笑点」。もともとは放送開始の1966年にヒットしたドラマ「氷点」をもじって命名。「ネタ」のつもりがすっかり「ベタ」となり、半世紀以上も続く超長寿番組になりました。

これまで出演する落語家は度々メンバーチェンジしてきましたが、不変なのはこのテーマ曲。放送開始当初こそ立川談志が歌う「笑点音頭」でしたが、談志降板後の1969年から、上掲「笑点のテーマ」が一貫して使われています。最初は歌詞付きの歌だったのですが、評判が芳しくなく、インストルメンタルになり定番化し現在に至ります。(以下の動画の通り時代に応じて度々アレンジは変わります。)

なお作曲は「上を向いて歩こう」でもおなじみの中村八大。「上を向いて歩こう」と同様、この曲もペンタトニック(5音階)で作られています。ジャズピアニストでもあり、お洒落なイメージが強い八大氏の曲ですが、民謡や演歌でもよく用いる四七抜き長音階(田舎節)も巧みに用います。

日曜日の夕方、翌日の通勤通学を憂い、気分が落ちることを「サザエさん症候群」とよく言いますが、私はどちらかと言えば「笑点症候群」。こんな陽気な曲なのに、この曲を聴くと何とも言えず切ない気分になってしまいます。

黒鍵ペンタトニック 「いい湯だな」(ザ・ドリフターズ)

「いい湯だな(ビバノン・ロック)」ザ・ドリフターズいずみたく作曲)

前回がクレージーキャッツとくれば、今回は、ザ・ドリフターズにいくしかありません。

ドリフの曲で、いの一番に私の頭に思い浮かんだのが、やはりこの「いい湯だな」です。「8時だョ!全員集合」や「ドリフ大爆笑」の番組エンディングでもおなじみの曲です。お風呂に入るとつい「ババンババンバンバン」と思わず口をついて出てしまいます。

この曲は元々、日本全国のご当地ソングを作るという企画、「にほんのうた」シリーズ(作詞・永六輔、作曲・いずみたく、歌・デュークエイセス)の中の1曲で群馬県のご当地ソングとして1963年に発表されました。このシリーズは他にも「筑波山麓合唱団(茨城)」や「女ひとり(京都)」がよく知られています。

この企画自体が昭和初期の「新民謡運動」(作曲家・中山晋平、詩人・西條八十らが中心人物)の影響を受けているせいもあるのか、この「いい湯だな」も田舎節(四七抜き長音階)の5音階で作られています。

なおザ・ドリフターズも元々はミュージシャン。1966年のビートルズの来日公演では、ブルー・コメッツやブルージーンズ、内田裕也、尾藤イサオらと前座を務めます。そこで注目を集め、翌1967年6月に「ズッコケちゃん/いい湯だな(ビバノン・ロック)」でレコード・デビューするのです。

黒鍵ペンタトニック 「ホンダラ行進曲」(クレージーキャッツ)

ホンダラ行進曲クレージーキャッツ/萩原哲晶 作曲

日本のノベルティソングで欠かせないのは、何といってもクレージーキャッツでしょう。「昭和」の高度経済成長真っ盛りの折、国中を笑いに包みこんだコントグループです。しかもただの「お笑い」グループではなく、メンバー全員、進駐軍のキャンプ回りで、その名を轟かせた腕利きのミュージシャンでもあります。

そもそも現在名だたる芸能事務所、渡辺プロ・ホリプロ・サンミュージック・田辺エージェンシーは、みな進駐軍のキャンプ回りのミュージシャンをを経て創業しました。クレージーキャッツは渡辺プロの屋台骨を支え、映画・テレビで大活躍するのです。

クレージーキャッツの陽気で「C調」な曲は、実にペンタトニック(特に四七抜き長音階)の曲が多く、どの曲を選ぶか悩むほどです。ですが、今回は「ホンダラ行進曲」を取り上げたいと思います。

この曲はイントロで「軍艦行進曲」と「丘を越えて」を掛け合わせたパロディ行進曲。どこかへ行進したい抗しがたい気持ち、平和な現世でどこへ行進したらよいかも分からない。けれど「ホンダラッタホイ」と進もう(ラジオ「大瀧詠一の日本ポップス伝」より)。

前回のオリンピックの翌年、1965年に発表のこの曲。どこか今の世相にも通じるところもあるかもしれません。

 

黒鍵ペンタトニック 「ワンサカ娘」(レナウンCM)

ワンサカ娘(レナウンCM/小林亜星

昨今、世代を超えて全国的にヒットする曲が出にくくなりました。とはいえ、近々でも「うっせぇわ」がヒット。詞の内容がこの世相を皮肉る面もあり、「滑稽な持ち味」の音楽、いわゆるノベルティソング(コミックソン)の一種と言えます。このタイプの曲は数年おきに流行し、まさに「歌は世につれ、世は歌につれ」といったところでしょう。

ノベルティソングにはペンタトニック(5音階)の四七抜き長音階がよく用いられます。この音階は元々「田舎節」とも呼ばれ、音階そのものにどこかコミカルな雰囲気があるのかもしれません。今回よりしばらく映画・テレビ・CM等で使用される曲で、5音階を用いて作られらたのベルディタイプのものを、懐かしい曲を中心に紹介していきたいと思います。

まずスタートは、懐かしのCM曲、レナウンの「ワンサカ娘」です。1961年に発表され、弘田三枝子やシルヴィ・ヴァルタン等様々な歌手に歌われ、1990年代まで放映され続けたCM界きっての名曲です。時代の変化に応じたアレンジに耐えうる骨太さが5音階のメロディにはあるのでしょう。なおこの曲の作詞・作曲は小林亜星氏。この曲が作曲家としての出世作となりました。

 

弘田三枝子のバージョン

 

シルヴィ・ヴァルタンのバージョン

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