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黒鍵ペンタトニック 「メリーさんの羊」

「メリーさんの羊」

「黒鍵4鍵で弾ける」シリーズも第5弾、ひとまず今号でひと段落。これまでは邦楽ばかりでしたが、最後は洋楽で締めくくります。

この「メリーさんの羊」は、英語の童謡、マザーグースの一種で、1830年、サラ・ジョセファ・ヘイルのオリジナル詩として発行されました。

実はこの曲、蓄音機と深い関りがあります。1877年、エジソンが蓄音機を発明したときのこと。録音の実験をするためにエジソン自身が蓄音機に向かって吹き込んだのが、なんと「メリーさんの羊」の歌詞だったのです。実験に成功したエジソンも「私の人生で、これほどびっくりしたことはない」というほどの驚きようだったそうです。最初の録音機は、パラフィン紙に溝を刻む仕組みで大変もろく、再生のため一度針を乗せただけで溝がつぶれてしまったそうです。ですから残念ながら記念すべき最初の録音は残っておりません。

ですが、1927年、発明50年を記念して、エジソンが発明当時を再現した録音は、現在も聴くことができます。

なお日本語詞は、1927年に高田三九三により訳されたものが有名で、1952年、NHKラジオ「うたのおばさん」で紹介され、一躍有名になります。

黒鍵ペンタトニック 「てるてる坊主」(中山晋平)

てるてる坊主」(中山晋平)

黒鍵4音で弾けるわらべうたの第4弾です。

2019年のレコード大賞曲は、「パプリカ」でしたが、実はこの曲はペンタトニック(5音階)をベースにメロディが作られています。(曲中にはもちろん、一般的な7音階を使っている所もあるので、そう単純な曲ではありませんが…)

作者の米津玄師が作る他の曲も含め、ここ数年のヒット曲の多くにペンタトニックが用いられる傾向があると思います。

そのペンタトニックで流行歌を作曲する元祖が今回紹介する中山晋平です。1912年(明治45年)に東京音楽学校本科ピアノ科を卒業。島村抱月が旗揚げした劇団「芸術座」に参加し、1914年(大正3年)に作曲した劇中歌「カチューシャ」が大当たりして一躍、流行作曲家として有名になります。

中山晋平は本当に多くの曲をペンタトニックで作曲していますのでこのコーナーで取り上げることも多くなります。その都度、エピソードを少しずつ紹介していこうと思います。

さて、「てるてる坊主」ですが、この曲は1921年(大正10年)に「少女の友」にて発表されました。当初の3番の歌詞は、童謡らしからぬ過激な詩の内容のため、後に削除されました。

黒鍵ペンタトニック 「あんたがたどこさ」

「あんたがたどこさ」

黒鍵4鍵で弾けるわらべうたの第三弾です。

「あんたがたどこさ、肥後さ、肥後どこさ、熊本さ…」と歌詞にある通り、この曲は一般的には熊本県の手鞠歌として知られています。ところがこれには異説もあります。

続く歌詞、「せんばさ、せんば山には…」が問題になります。熊本城下には「船場(せんば)」という地名はあるが「船場山(せんば山)」はない。そこでにわかに注目を集めたのが、埼玉の川越です。川越には仙波山(せんば山)があり、そこにある仙波東照宮では「古狸」と知られる徳川家康が祀られている。そして幕末の戊辰戦争の時に、仙波山に隣接する川越城に駐留した肥後藩の官軍兵と、交流した近所の子供たちとの問答が歌詞になったのだという説が湧き上がりました。口伝で広まる「わらべうた」には、この様に諸説入り乱れることもあり、なかなか興味深いところです。

NHKのTV番組「ブラタモリ」では、熊本城の周りにお堀を作った時に生じた大量が、堀伝いに土塁として築かれ、それを「船場山(せんば山)」と呼んだという説が紹介されました。残念ながら、現在はその「船場山」は残っていないそうです。どうやらこの説の信憑性が高いようにも思いますが、はたして真偽のほどはいかに?

黒鍵ペンタトニック 「ほたるこい」

「ほたるこい」

前回に引き続いて、今回も4つの音、しかも全て黒鍵(下からミ♭・ソ♭・ラ♭・シ♭)で弾けるわらべうたを紹介します。その第二弾は「ほたるこい」です。

この曲は、おおよそどの楽譜でも、「わらべうた」とのみ表記されていて、作者不詳の曲として扱われています。ところが鳥取県の公式サイト及び鳥取県の商工会議所のホームページでは、三上留吉(1897~1962)なる人物が作者として紹介されています。この2つのサイトを要約すると、三上氏のプロフィールは以下になります。

鳥取師範附属小学校に教員として勤務する傍ら、大日本少年団(ボーイスカウト)のリーダーとして活動し、多くの野外ソング、ゲームソングなどを作曲しました。昭和初期からは、鳥取県内の民謡や小唄の作曲・採譜を活発に行い、昭和8年(1933年)に「ほたるこい」が、日本音楽協会編纂の「児童唱歌」の1曲として採択されました。

この三上版の譜面が全国に広まり、上記のメロディが今日のスタンダードになったようです。前回の「かごめかごめ」もそうですが、わらべうたの伝播における小学校教員の大いなる貢献をうかがい知ることができます。

 

黒鍵ペンタトニック 「かごめかごめ」

「かごめかごめ」

私達に耳なじみのある「わらべうた」の中には、シンプルに4つの音からなるものがあります。世界を見渡せば、例えば、エスキモーの歌にはわずか2つの音からなるメロディもあるそうなので驚きです。

さて、これから数回に渡り、4つの音、しかも全て黒鍵(下からミ♭、ソ♭、ラ♭、シ♭)で弾くことのできるわらべうたを紹介します。その第一弾は「かごめかごめ」です。

この曲の「かごめかごめ、かごのなかの鳥は…」の歌詞自体は19世紀初頭のいくつかの文献に残されています。ただ楽譜が残っているわけではないのでその歌い方は地域によって異なっていたと考えられています。

現在よく知られている上記のメロディは、小学校の教員で、作曲家でもあった山中直治(1906~1937)が自身の地元、現在の千葉県野田市山崎あたりで、子どもたちが歌っているのを聴きとり採譜したものです。その譜面が全国に広がり現在に至ります。

ですから野田市はこの曲の発祥地とされ、東武アーバンパークライン、清水公園駅の前には「かごめの唄の碑」が建立されています。

黒鍵ペンタトニック 「蛍の光」

「蛍の光」

1789年(明治12年)に、文部省音楽取調掛が創設され、学校教育に西洋音楽が本格的に導入されます。

1884年(明治17年)に小学生用に編纂された「小学唱歌集」が音楽取調掛によって発行されます。全33曲が収録され、その中に「蛍の光」(当時のタイトルは「蛍」)もありました。他にも「見わたせば」(現在の「むすんでひらいて」)、「蝶々」、「君が代」などよく知られた曲も収録されていました。

当時、まだまだ国産のメロディは少なく、輸入したメロディに日本語の歌詞をのせることが一般的でした。今まで挙げた4曲でも「君が代」以外は外国曲になります。「蛍の光」はスコットランド民謡、「むすんでひらいて」はフランスのルソー作曲、「蝶々」はスペイン民謡といった具合です。

しかも当時の人々にとっては、西洋の「ドレミファソラシ」の7音階は難しく、もともと日本にあった音階に近い、4番目「ファ」と7番目「シ」を省略した「四七抜き音階」が重用されます。「蛍の光」は「四七抜き音階」を用いた最初期の唱歌であり、現在も卒業式や閉店時のBGMとして親しまれ続けています。

黒鍵ペンタトニック はじめに

明治になり西洋音楽が本格的に導入されおおよそ150年。導入当時、人々は西洋の「ドレミファソラシ」の7音の音階にはなかなか馴染めませんでした。そこで従来の音楽との違和感ができるだけないように、2音を省いてできる5音の音階、ペンタトニックが重用されました。ペンタトニックは、唱歌や童謡はもちろん、演歌やポップスなどでも用いられ、現在まで広く愛用されています。

このコーナーでは、黒鍵の5音だけで構成される音階(四七抜き長音階、二六抜き短音階)を「黒鍵ペンタトニック」と呼び、毎月1曲楽譜とともにその曲にまつわるエピソードを紹介します。

もちろん楽譜のメロディは全て黒鍵で弾けます。伴奏には、どうぞお好みの黒鍵を即興でお使いください。

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